概要
AT Protocol(Authenticated Transfer Protocol)は、SNSのアカウントや自分の投稿、フォローしている人のリストなどのデータを、特定の企業に縛られることなく自由に持ち運びできるようにするためのルール(共通基盤)です。
有名なところでは、X(旧Twitter)に似たSNSである「Bluesky」の裏側でこの技術が使われています。
詳しくは AT Protocol 公式サイト を参照してください。
詳しい説明
ふつうのSNSは、特定のマンションに住むようなものです。もしそのマンション(SNSの運営会社)のルールが変わったり、マンション自体がなくなったりした場合、部屋の中にある家具や思い出(自分の投稿やフォロワーとのつながり)をすべて置いて、手ぶらで別のマンションに引っ越さなければなりません。アカウントが突然消されてしまうリスクも運営会社の判断次第です。
しかし、AT Protocolは「家(データ)ごと別の場所に引っ越しできる仕組み」を提供します。
AT Protocolが実現できること
データの引っ越し(ポータビリティ) 自分の投稿や「いいね」、フォロー関係などのデータは、特定のアプリの中ではなく、自分が選んだデータ置き場に保存されます。そのため、もし使っているアプリが気に入らなくなったら、データをそのまま持った状態で別のアプリに乗り換えることができます。
自分だけのIDを持てる ふつうのSNSでは「@ユーザー名」をそのSNSの会社から借りますが、AT Protocolでは自分が持っているウェブサイトのアドレス(ドメイン)をそのままアカウント名として使うことができます。これにより、サービスを乗り換えても「自分は自分である」ことをずっと証明し続けられます。
好きなアルゴリズムを選べる タイムラインに「どんなおすすめの投稿が表示されるか」を、運営会社が決めるのではなく、ユーザー自身が好きな基準(たとえば「特定の話題だけを集める」など)を選んで設定できます。
どんな風に使われているか
最も有名な事例は「Bluesky」というSNSです。同じデータ置き場を見に行くだけなので、新しくアカウントを作り直すことなく、複数のアプリをまたいで自分のデータを活用できます。
Bluesky以外の利用事例
AT Protocolは「短い文章をつぶやくSNS」専用のルールではないため、Blueskyのデータを利用して様々な種類のアプリが作られています。
- WhiteWind:長い文章を書くためのブログサービス。
- Frontpage:気になったニュースや記事のリンクを持ち寄り、みんなで共有する掲示板のようなサイト。
- Smoke Signal:イベントの告知や、参加・不参加の出欠確認ができるサービス。
これらはすべて、Blueskyで使っているのと同じアカウント情報を利用してそのままログインできます。ふつうならサービスごとに新しくアカウントやパスワードを作り直す必要がありますが、AT Protocolを使えば複数の異なるアプリをまたいで、自分のプロフィールやつながりをそのまま活用できます。
Mastodon(ActivityPub)との違い
分散型SNSとしてよく比較される「Mastodon」は、AT Protocolとは違う「ActivityPub」という別のルールを使っています。両者には以下のような大きな違いがあります。
引っ越しのしやすさ(アカウントの持ち運び) Mastodonは「〇〇サーバーの住人」になる仕組みです。もしそのサーバーが突然閉鎖されると、アカウントもフォロワーも消えてしまいます(サーバーが動いているうちなら引っ越し手続きは可能です)。一方、AT Protocolはサーバーに依存しない「自分専用の不変のID」を持つため、データ置き場を変えても自分からつながりを維持したまま自由に引っ越しができます。
全体の見え方(検索やタイムライン) Mastodonでは、自分のいるサーバーが知っている範囲の投稿しか見えづらい「独立した村」のような作りになっています。AT Protocolでは、ネットワーク全体のデータを一カ所に集めて表示する仕組みがあるため、世界中の投稿を簡単に検索したり、誰かが作った「特定の話題だけを集めたカスタムタイムライン」を自由に追加したりできます。
まとめ
AT Protocolは、一部の大きな企業がみんなのデータを独占する「今のSNS」から、ユーザー自身が自分のデータをコントロールできる「次世代のSNS」へと変えるために作られた仕組みです。メールアドレスさえあればどの会社のメールアプリでも連絡が取れるように、SNSも特定の会社に縛られずに自由にやり取りできる未来を目指しています。
このサイトでの使われ方
現在のところ、このサイトのシステム内でAT Protocolは直接使用されていません。しかし、将来的にブログの更新通知をBlueskyなどの分散型SNSへ自動投稿する仕組みを作ったり、サイトの認証基盤として連携させたりする際の技術的な選択肢の一つとして参考になります。